テストステロン減少の兆候は?男性更年期のサインと自分でできるチェック方法

男性機能

30代後半から40代にかけて、「なんとなく疲れが抜けない」「以前よりやる気が出ない」「性欲が落ちた気がする」と感じることはありませんか。こうした変化は、単なる加齢や働きすぎだけでなく、テストステロンの低下が関係している場合があります。

テストステロンは、男性の性機能だけでなく、筋肉量、骨の健康、体脂肪、気分、意欲、赤血球の産生などにも関わる重要なホルモンです。日本泌尿器科学会などによる「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」でも、LOH症候群では性機能症状だけでなく、身体症状・精神症状が問題になることが整理されています。出典:日本泌尿器科学会ほか「LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引き」

ただし、疲労感、イライラ、性欲低下があるからといって、すべてがテストステロン不足とは限りません。睡眠不足、うつ状態、甲状腺疾患、糖尿病、薬の影響、飲酒、ストレスなど、別の原因が隠れていることもあります。この記事では、テストステロン低下で起こり得るサイン、男性更年期・LOH症候群の考え方、セルフチェック、生活習慣の見直し、受診の目安を出典つきで解説します。

  1. テストステロン減少で現れやすい身体のサイン
    1. お腹周りの脂肪が増える
    2. 筋肉が落ち、疲れやすくなる
    3. 骨密度の低下や腰痛が気になる
    4. 睡眠の質が下がる
  2. 精神面に現れやすい変化
    1. 集中力や判断力が落ちたように感じる
    2. イライラしやすくなる
    3. 意欲が落ち、ふさぎ込みやすくなる
  3. 性機能に関するサイン
    1. 性欲の低下を自覚する
    2. 朝立ちの回数が減る
    3. 性交時の維持力が落ちる
  4. 男性更年期障害・LOH症候群とは
    1. 発症しやすい年代と背景
    2. 生活習慣病との関係
  5. AMSスコアで状態をセルフチェックする
  6. テストステロンを下げやすい生活習慣
    1. 短時間睡眠が続く
    2. 慢性的なストレスを受けている
    3. 飲酒量が多い
    4. 運動不足が続いている
  7. 食事と栄養で意識したいこと
    1. 亜鉛を不足させない
    2. ビタミンDを意識する
    3. たんぱく質と良質な脂質を極端に減らさない
  8. 運動でテストステロンを支える方法
    1. 下半身を使う筋トレを取り入れる
    2. 有酸素運動を続ける
    3. 無理な高強度運動は避ける
  9. 泌尿器科で受ける検査と診断の考え方
    1. 採血は朝の時間帯が基本
    2. 2022年版では総テストステロン250ng/dL以下または遊離テストステロン7.5pg/mL未満が基準
    3. テストステロン補充療法は医師の管理下で行う
  10. 受診を検討したいサイン
  11. まとめ:テストステロン低下は「気合い」ではなく体のサインとして見る
  12. 参考出典

テストステロン減少で現れやすい身体のサイン

テストステロンが低下すると、性機能だけでなく、筋肉、骨、体脂肪、睡眠、疲労感などに影響することがあります。Endocrine Societyは、男性低ゴナド症の症状として、性欲低下、ED、自発的な勃起の減少、エネルギー低下、筋肉量低下、体脂肪増加、気分の落ち込みなどを挙げています。出典:Endocrine Society「Hypogonadism in Men」

お腹周りの脂肪が増える

以前と食事量が大きく変わっていないのに、お腹周りの脂肪が増えたと感じる場合、運動不足や食べすぎだけでなく、ホルモンバランスの変化も関係している可能性があります。テストステロン低下は、筋肉量の減少や体脂肪の増加と関連することがあり、肥満やメタボリックシンドロームとも相互に影響し合うと考えられています。出典:日本泌尿器科学会ほか「LOH症候群診療の手引き」

ただし、「お腹が出た=テストステロン不足」と決めつけるのは早計です。食事量、飲酒、睡眠不足、運動不足、ストレス、加齢による筋肉量低下なども体型変化の原因になります。食事改善や運動を続けても内臓脂肪が減りにくい場合は、血糖・脂質・肝機能などの健康診断項目とあわせて確認するとよいでしょう。

筋肉が落ち、疲れやすくなる

テストステロンには、筋肉量や筋力の維持に関わる働きがあります。低テストステロンでは、筋肉量の減少、体力低下、疲労感、活動性の低下などが見られることがあります。以前より階段がつらい、重い荷物を持つのが億劫、筋トレをしても筋肉がつきにくいと感じる場合は、睡眠や栄養、運動習慣とあわせてホルモン状態も見直す価値があります。

一方で、疲れやすさは貧血、甲状腺機能異常、睡眠時無呼吸症候群、うつ状態、過労などでも起こります。長引く倦怠感がある場合は、テストステロンだけでなく全身の状態を確認することが大切です。

骨密度の低下や腰痛が気になる

テストステロンは骨の健康にも関係します。Endocrine Societyは、男性低ゴナド症で骨量低下や骨密度低下が起こり得ると説明しています。骨密度が低下すると、背中や腰の痛み、身長低下、骨折リスクの上昇につながることがあります。出典:Endocrine Society「Hypogonadism in Men」

ただし、腰痛の原因は、筋肉のこり、椎間板、姿勢、運動不足、内臓疾患など多岐にわたります。長引く腰痛、身長の低下、骨折歴がある場合は、整形外科や内科で骨密度を含めた評価を受けることも検討しましょう。

睡眠の質が下がる

テストステロンと睡眠は互いに関係しています。JAMAに掲載された研究では、健康な若年男性が1週間、睡眠時間を1日5時間に制限されたところ、日中のテストステロン値が10〜15%低下したと報告されています。出典:JAMA「Effect of 1 Week of Sleep Restriction on Testosterone Levels in Young Healthy Men」

夜中に何度も目が覚める、朝起きても疲れが取れない、日中の眠気が強い場合は、睡眠不足だけでなく、睡眠時無呼吸症候群などが関係していることもあります。特に、いびきが大きい、寝ている間に呼吸が止まると言われたことがある、日中の眠気が強い場合は、医療機関で相談してください。

精神面に現れやすい変化

テストステロン低下では、身体症状だけでなく、気分や意欲、集中力の変化が現れることがあります。ただし、これらはうつ病、不安障害、過労、睡眠不足、ストレスでも起こるため、ホルモンだけに原因を決めつけないことが重要です。

集中力や判断力が落ちたように感じる

仕事中に集中が続かない、以前より判断に時間がかかる、文章を読んでも頭に入りにくい。こうした変化は、睡眠不足やストレスの影響でも起こりますが、LOH症候群の相談で訴えられることもあります。AMSスコアにも、全般的な調子の悪さ、疲労感、活動性の低下、能力の低下などに関する項目があります。出典:鳥取県「AMSスコア(男性更年期障害質問票)」

急に仕事のパフォーマンスが落ちた、ミスが増えた、物忘れが強くなった場合は、生活習慣の見直しだけでなく、内科・精神科・心療内科・泌尿器科などで相談することも選択肢です。

イライラしやすくなる

些細なことで怒りっぽくなる、家族や職場での言動に過敏になる、後から「なぜあんなに怒ったのだろう」と後悔する。このような情緒の不安定さも、男性更年期の相談で見られることがあります。

ただし、イライラは睡眠不足、飲酒、職場ストレス、家庭問題、うつ状態、不安症状などでも起こります。自分の性格が急に変わったように感じる場合は、ホルモンだけでなく、生活環境やメンタルヘルスも含めて見直しましょう。

意欲が落ち、ふさぎ込みやすくなる

休日に何もする気が起きない、以前好きだった趣味に興味が持てない、外出が億劫になる。こうした意欲低下は、LOH症候群でも見られますが、うつ病の重要なサインでもあります。

気分の落ち込みが強い、眠れない、食欲がない、仕事に行けない、死にたい気持ちがある場合は、テストステロン対策よりも先に、精神科・心療内科・地域の相談窓口などへ早めに相談してください。

性機能に関するサイン

テストステロン低下で多くの男性が気づきやすいのが、性欲や勃起に関する変化です。Endocrine Societyは、低テストステロンの症状として、性欲低下、ED、自発的な勃起の減少を挙げています。出典:Endocrine Society「Hypogonadism in Men」

性欲の低下を自覚する

以前より性的な関心が薄れた、パートナーとの時間を持ちたい気持ちが減った、性的刺激への反応が鈍くなったと感じる場合、テストステロン低下が関係していることがあります。

ただし、性欲はホルモンだけで決まるものではありません。疲労、睡眠不足、夫婦関係、ストレス、うつ状態、薬の副作用、飲酒などの影響も受けます。性欲低下が生活の満足度やパートナー関係に影響している場合は、一人で抱え込まず、医療機関で相談しましょう。

朝立ちの回数が減る

朝立ち、つまり早朝勃起の回数が減ったと感じる場合、睡眠の質、血流、神経、ホルモンの状態が関係している可能性があります。AMSスコアにも「早朝勃起の回数の減少」という項目が含まれています。出典:鳥取県「AMSスコア(男性更年期障害質問票)」

ただし、朝立ちの変化だけでLOH症候群と判断することはできません。EDは糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙、肥満、心血管疾患とも関係します。急に勃起機能が落ちた、朝立ちがほとんどなくなった、胸痛や息切れがある場合は、泌尿器科や内科で相談してください。

性交時の維持力が落ちる

途中で維持しにくくなった、硬さが足りない、以前より不安が強いといった変化も、テストステロン低下や血流の問題、心理的要因が複合して起こることがあります。

EDが続く場合、単に「年齢のせい」と考えず、生活習慣病や心血管リスクのサインとしても捉えることが大切です。必要に応じて、泌尿器科やメンズヘルス外来で相談しましょう。

男性更年期障害・LOH症候群とは

LOH症候群とは、テストステロン低下に関連した身体・精神・性機能の症状が現れる状態を指します。2022年版の手引きでは、LOH症候群は「加齢」だけに限定されず、若年・中年男性にも起こり得るものとして整理されています。出典:日本泌尿器科学会ほか「LOH症候群診療の手引き」

以前は「加齢男性性腺機能低下症候群」という言い方が中心でしたが、現在は加齢だけでなく、ストレス、生活習慣、基礎疾患なども含めて考える必要があります。つまり、30代や40代でも、症状が続く場合はLOH症候群の可能性を考えることがあります。

発症しやすい年代と背景

LOH症候群の相談は40代以降で増えやすいものの、年齢だけで判断するものではありません。仕事上の責任、睡眠不足、過度な飲酒、運動不足、肥満、慢性ストレスなどが重なると、若い世代でも症状が強く出ることがあります。

「年齢のせい」「気合いが足りない」と片づけるのではなく、症状が続く場合は、血液検査や生活習慣の見直しを通じて原因を確認することが重要です。

生活習慣病との関係

テストステロン低下は、肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム、心血管疾患などと関連することが報告されています。LOH症候群の診療では、単にホルモン値だけを見るのではなく、血糖、脂質、血圧、体重、睡眠、メンタルヘルスなどを総合的に評価することが大切です。出典:日本泌尿器科学会ほか「LOH症候群診療の手引き」

健康診断で血糖値、HbA1c、LDLコレステロール、中性脂肪、血圧、腹囲などを指摘されている場合は、テストステロン低下だけでなく、生活習慣病の管理も重要になります。

AMSスコアで状態をセルフチェックする

自分の不調が男性更年期に近いかを把握する目安として、AMSスコア(男性更年期障害質問票)があります。AMSスコアは17項目の質問に対して、症状の程度を1〜5点で回答し、合計点で重症度の目安を確認する質問票です。出典:鳥取県「AMSスコア(男性更年期障害質問票)」

質問には、総合的な調子の悪さ、関節痛や筋肉痛、発汗、睡眠の悩み、疲労感、イライラ、不安、筋力低下、性欲低下、早朝勃起の減少などが含まれます。自分では見逃していた変化を整理するのに役立ちます。

合計点数重症度の目安考え方
17〜26点なし大きな症状は少ない目安。ただし気になる症状があれば相談を検討
27〜36点軽度睡眠、運動、飲酒、ストレスなど生活習慣を見直すサイン
37〜49点中等度症状が続く場合は医療機関への相談を検討
50点以上重度日常生活への影響が大きい可能性があるため、早めの受診を推奨

ただし、AMSスコアだけでLOH症候群と診断することはできません。質問票はあくまでセルフチェックの道具です。症状が強い場合や生活に支障が出ている場合は、泌尿器科、メンズヘルス外来、内科、心療内科などで相談しましょう。

テストステロンを下げやすい生活習慣

テストステロンは年齢だけでなく、睡眠、ストレス、飲酒、肥満、運動不足などの影響を受けます。生活習慣を整えることは、LOH症候群の予防や症状軽減の土台になります。

短時間睡眠が続く

睡眠不足は、テストステロン低下と関係します。睡眠時間を1週間5時間に制限した研究では、日中のテストステロン値が10〜15%低下したと報告されています。寝る時間を削る生活が続いている人は、まず睡眠時間と睡眠の質を見直しましょう。出典:JAMA「Effect of 1 Week of Sleep Restriction on Testosterone Levels in Young Healthy Men」

慢性的なストレスを受けている

慢性的なストレスは、睡眠、食欲、飲酒量、運動量に影響し、結果としてホルモンバランスや体調に悪影響を与えることがあります。仕事のプレッシャーや家庭内の問題を抱えている場合は、休息、相談、運動、カウンセリングなど、ストレスを外に出す手段を持つことが大切です。

飲酒量が多い

飲酒量が多いと、睡眠の質の低下、体重増加、肝機能への負担などを通じて、体調全体に影響します。テストステロンを意識するなら、寝酒や深酒を控え、休肝日を作ることも有効です。飲酒量を自力で減らせない場合は、医療機関や相談窓口を利用しましょう。

運動不足が続いている

運動不足は、筋肉量低下、肥満、血糖・脂質異常、睡眠の質低下につながります。ED診療ガイドラインでも、肥満と運動不足はEDのリスクファクターとして整理されています。テストステロンや性機能を考えるうえでも、運動習慣は重要な土台です。出典:Mindsガイドラインライブラリ「ED診療ガイドライン[第3版]」

最初からハードな筋トレをする必要はありません。1日20〜30分歩く、階段を使う、座りっぱなしを避ける、軽いスクワットをするなど、続けられる方法から始めましょう。

食事と栄養で意識したいこと

テストステロンを支えるには、特定の食品だけを大量に摂るより、十分なエネルギー、たんぱく質、亜鉛、ビタミンD、良質な脂質を含むバランスのよい食事が大切です。ただし、サプリや食品でテストステロンが必ず増えると断定することはできません。

亜鉛を不足させない

亜鉛は、免疫機能、たんぱく質合成、DNA合成、細胞分裂、味覚などに関わる必須ミネラルです。NIH Office of Dietary Supplementsは、亜鉛が多くの酵素の働きに必要であり、免疫機能や細胞レベルの働きに重要だと説明しています。出典:NIH Office of Dietary Supplements「Zinc Fact Sheet for Health Professionals」

亜鉛を含む食品には、牡蠣、肉類、魚介類、卵、乳製品、豆類、ナッツ類、全粒穀物などがあります。ただし、亜鉛サプリを多く飲めばテストステロンが上がるというものではありません。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、30〜64歳男性の亜鉛推奨量は9.5mg/日、耐容上限量は45mg/日とされています。過剰摂取には注意しましょう。出典:健康長寿ネット「亜鉛の働きと1日の摂取量」

ビタミンDを意識する

ビタミンDは骨の健康に関わる栄養素で、日光を浴びることで皮膚でも作られます。厚生労働省eJIMは、ビタミンDがカルシウム吸収や骨の健康に重要であると説明しています。出典:厚生労働省eJIM「ビタミンD」

テストステロンとの関連を示す研究はありますが、ビタミンDを摂れば必ずテストステロンが上がると断定できるわけではありません。魚、きのこ類、卵などを食事に取り入れ、日光を適度に浴びるなど、骨と全身の健康を支える栄養素として意識しましょう。

たんぱく質と良質な脂質を極端に減らさない

筋肉量を保つには、たんぱく質を十分に摂ることが重要です。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などを毎食に取り入れましょう。また、極端な脂質制限は食事の満足感やホルモン材料の面で無理が出やすくなります。魚、ナッツ、オリーブオイルなどの不飽和脂肪を含む食品を適量取り入れるのがおすすめです。

ただし、脂質を増やせばテストステロンが増えるという単純な話ではありません。肥満や脂質異常症がある場合は、主治医や管理栄養士と相談しながら、体重・血糖・脂質に配慮した食事に整えましょう。

運動でテストステロンを支える方法

運動は、体重管理、筋肉量維持、睡眠改善、ストレス対策に役立ちます。テストステロンだけを目的にするのではなく、全身の健康を整える習慣として取り入れることが大切です。

下半身を使う筋トレを取り入れる

スクワット、階段昇降、椅子から立ち上がる動作など、下半身の大きな筋肉を使う運動は、筋肉量維持と代謝改善に役立ちます。膝や腰に不安がある場合は、浅いスクワットや椅子を使った動作から始めましょう。

有酸素運動を続ける

ウォーキング、軽いジョギング、サイクリング、水泳などの有酸素運動は、体重管理や血管の健康に役立ちます。EDやLOH症状の背景に肥満・運動不足がある場合、まずは週数回、20〜30分の早歩きから始めるとよいでしょう。

無理な高強度運動は避ける

高強度インターバルトレーニングやウエイトトレーニングは有効な運動習慣になり得ますが、心臓病、高血圧、関節痛、運動習慣がない人には負担が大きいことがあります。急に強い運動を始めるより、医師に相談しながら安全な強度から始めましょう。

泌尿器科で受ける検査と診断の考え方

セルフケアをしても改善しない、性欲低下やEDが続く、疲労感や気分の落ち込みが強い場合は、泌尿器科やメンズヘルス外来で相談しましょう。LOH症候群の診断では、症状と血中テストステロン値の両方を確認します。

採血は朝の時間帯が基本

テストステロン値は日内変動があり、朝に高く、夕方以降に低くなる傾向があります。Endocrine Societyは、低テストステロンの診断では、朝の空腹時総テストステロン値を測定し、繰り返し測定して確認することを推奨しています。出典:Endocrine Society「Testosterone Therapy for Hypogonadism Guideline Resources」

日本の診療でも、採血時間や体調、前日の飲酒、睡眠不足などが結果に影響する可能性があります。検査を受ける場合は、医療機関の指示に従い、できるだけ朝の時間帯に受けるとよいでしょう。

2022年版では総テストステロン250ng/dL以下または遊離テストステロン7.5pg/mL未満が基準

2022年版の「LOH症候群診療の手引き」では、診断基準として、血清総テストステロン値250ng/dL以下、または血清フリーテストステロン値7.5pg/mL未満が示されています。以前の記事や古い資料では、遊離テストステロン8.5pg/mL未満という記載が見られることがありますが、現在の記事では2022年版の基準に合わせて理解するのが適切です。出典:日本泌尿器科学会ほか「LOH症候群診療の手引き」

ただし、数値だけで治療が決まるわけではありません。症状の内容、生活への影響、基礎疾患、前立腺疾患の有無、血液検査の他項目などを踏まえ、医師が総合的に判断します。

テストステロン補充療法は医師の管理下で行う

検査と診察の結果、必要と判断された場合には、テストステロン補充療法が検討されることがあります。ただし、誰にでも使える治療ではありません。前立腺がんや乳がん、重い心血管疾患、睡眠時無呼吸症候群、赤血球増多など、注意が必要な状態があります。

Endocrine Societyも、テストステロン療法は、症状があり、かつテストステロン値が一貫して低い男性で診断を確認したうえで検討することを推奨しています。自己判断で海外製ホルモン剤や不明なサプリを使うことは避け、必ず医師の管理下で行いましょう。出典:Endocrine Society「Testosterone Therapy for Hypogonadism Guideline Resources」

受診を検討したいサイン

次のような状態がある場合は、セルフケアだけで様子を見るのではなく、医療機関への相談を検討してください。

  • 性欲低下やEDが数か月以上続いている
  • 朝立ちがほとんどなくなった
  • 強い疲労感、意欲低下、集中力低下が続く
  • 気分の落ち込みが強く、仕事や家庭生活に支障がある
  • 急に体重が増えた、筋力が落ちた、骨折しやすくなった
  • 糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満、睡眠時無呼吸症候群がある
  • 自己判断で男性ホルモン系サプリや海外製品を使おうとしている

特に、希死念慮がある、強い抑うつがある、胸痛や息切れがある、急な性機能低下と全身症状がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。

まとめ:テストステロン低下は「気合い」ではなく体のサインとして見る

テストステロンが低下すると、性欲低下やEDだけでなく、疲労感、筋肉量低下、体脂肪増加、睡眠の質低下、気分の落ち込み、集中力低下など、幅広い症状が現れることがあります。一方で、これらの症状は睡眠不足、ストレス、うつ状態、生活習慣病、薬の影響でも起こるため、自己判断で決めつけないことが大切です。

まずは、睡眠時間、飲酒量、運動不足、食事、ストレスを見直しましょう。AMSスコアで状態を把握し、症状が続く場合は泌尿器科やメンズヘルス外来で相談することが現実的です。検査では、朝の時間帯に総テストステロンや遊離テストステロンを確認し、症状と合わせて総合的に判断します。

男性更年期やLOH症候群は、恥ずかしいものではありません。体からのサインを早めに受け止め、生活習慣の改善と必要な医療相談を組み合わせることで、心身のコンディションを取り戻す一歩につながります。

参考出典

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