最近、ED治療の選択肢として「低出力体外衝撃波治療」や「ED衝撃波治療」という言葉を目にする機会が増えています。バイアグラ、シアリスなどのED治療薬は、必要なタイミングで勃起をサポートする治療ですが、衝撃波治療は陰茎の血流環境に働きかける治療として紹介されることがあります。
ただし、衝撃波治療は「誰でも薬なしで完全に治る」と断定できる治療ではありません。東邦大学医療センター大森病院では、低出力体外衝撃波治療について、血管内皮細胞での一酸化窒素合成酵素(eNOS)や血管内皮増殖因子(VEGF)の誘導を促し、その結果として血管新生や血流改善が認められると考えられていると説明しています。出典:東邦大学医療センター大森病院「勃起障害(ED)」
一方で、海外の専門団体の見解には差があります。2024年のAFU/SFMSガイドラインでは、軽度から中等度EDに対して低強度体外衝撃波治療を単独またはPDE5阻害薬と組み合わせて提案できるとしていますが、長期有効性やリスク、最適な治療プロトコルは十分に確立していないとも述べています。出典:AFU/SFMS Guidelines 2024「Therapeutic management of erectile dysfunction」
この記事では、ED衝撃波治療の仕組み、期待できる人・向いていない人、ED治療薬との違い、通院回数、費用、クリニック選びの注意点を、出典を明示しながら整理します。
- ED衝撃波治療は、低出力の衝撃波を陰茎に照射し、血管新生や血流改善を狙う治療として紹介されている。
- 主に血管性ED、特に軽度から中等度EDで検討されることが多い。
- ED治療薬のような即効性ではなく、複数回の施術で変化を見る治療である。
- 効果には個人差があり、心因性EDや重度EDでは期待通りの結果にならないこともある。
- 海外ガイドラインでも評価は分かれており、長期効果や最適な治療回数はまだ議論がある。
- 日本では自由診療として提供されることが多く、費用はクリニックごとに異なる。
ED衝撃波治療とは?
ED衝撃波治療は、低出力の体外衝撃波を陰茎に照射することで、血管に関わる勃起機能の改善を目指す治療です。専門的には、Li-ESWT、LiSWT、低強度体外衝撃波療法、低出力体外衝撃波治療などと呼ばれます。
EDは、血管、神経、ホルモン、心理状態、生活習慣、服薬中の薬など、複数の要因で起こります。なかでも血管性EDは、陰茎へ十分な血液が流れ込みにくくなることで起こるタイプです。衝撃波治療は、この血流不足にアプローチする治療として研究されています。
血管新生・血流改善を狙う仕組み
衝撃波治療の仕組みは、低出力の衝撃波によって陰茎組織に微細な刺激を与え、血管新生や血流改善につながる反応を促すというものです。東邦大学医療センター大森病院では、体外衝撃波により血管内皮細胞でのeNOSやVEGFの誘導を促し、血管新生や血流改善が認められると考えられていると説明されています。出典:東邦大学医療センター大森病院「勃起障害(ED)」
ただし、これは「1回当てれば血管がすぐ再生する」という意味ではありません。血管や組織の反応には時間がかかるため、通常は複数回の施術を前提に、数週間から数か月単位で変化を見ていく治療です。
ED薬とはアプローチが違う
ED治療薬は、性的刺激があったときの血管拡張反応を助ける薬です。即効性があり、必要なタイミングで使いやすい一方、薬の作用時間が終わると効果も消えます。
一方、衝撃波治療は、血管性EDの土台にある血流環境へアプローチする治療として考えられています。そのため、薬のように「今日の性行為に合わせて使う」治療ではなく、継続的な通院によって中長期的な改善を目指す位置づけです。
ただし、「根本治療」「薬が完全に不要になる」と強く言い切るのは注意が必要です。2024年のAFU/SFMSガイドラインでは、軽度から中等度EDに対して低強度体外衝撃波治療を提案できるとする一方、長期、特に6か月を超える有効性やリスクは十分評価されていないとしています。出典:AFU/SFMS Guidelines 2024
ED衝撃波治療は本当に効果がある?
ED衝撃波治療については、複数の臨床研究やメタ分析があります。全体として、軽度から中等度の血管性EDでは改善が示唆される一方、研究ごとに対象者、機器、照射回数、照射部位、評価期間が異なり、結果の解釈には注意が必要です。
医学書院の「低出力体外衝撃波治療(LESWT)」の文献概要では、低出力体外衝撃波治療はPDE5阻害薬と異なる再生医療の観点から有効な治療選択肢であり、血管性EDを対象としたランダム化比較研究で有意な治療効果が報告されていると紹介されています。一方で、軽症EDやPDE5阻害薬有効症例で治療効果を認め、重症EDや糖尿病の既往がない場合に長期効果も期待できるとされており、適応には注意が必要です。出典:医学書院「低出力体外衝撃波治療(LESWT)」
また、2025年のBritish Medical Bulletin掲載レビューでは、2017〜2024年に発表された複数のシステマティックレビューやメタ分析はESWTがEDに有効な介入であることを示唆するとしつつ、AUAでは研究段階と分類されるなど、国際的な評価には差があると整理されています。出典:British Medical Bulletin「Extracorporeal shock wave therapy for erectile dysfunction」
期待しやすいのは血管性・軽度〜中等度ED
衝撃波治療が特に検討されやすいのは、血流低下が関係する血管性EDです。加齢、喫煙、運動不足、高血圧、糖尿病、脂質異常症などは血管に負担をかけ、EDの背景になり得ます。
AFU/SFMSガイドラインでは、血管成分がある軽度から中等度EDで、PDE5阻害薬に反応する患者において、LI-SWTはIIEFやEHSスコアを改善するとしています。ただし、臨床的なベネフィットは不確実であるとも述べています。出典:AFU/SFMS Guidelines 2024
つまり、衝撃波治療は「血管性EDなら必ず効く」というより、「軽度から中等度で、血流低下が関係するEDでは選択肢になり得る」と考えるのが現実的です。
効果が出にくい可能性があるケース
衝撃波治療は、すべてのEDに同じように効くわけではありません。強い心理的プレッシャー、うつ、不安、パートナーとの関係性などが中心の心因性EDでは、血流にアプローチしても十分な変化が出ない場合があります。
また、重度ED、糖尿病による神経障害が強いケース、前立腺手術後の神経損傷が強いケース、血管障害が進行しているケースでは、衝撃波治療だけで満足できる改善が得られない可能性があります。こうした場合は、PDE5阻害薬、陰圧式勃起補助具、注射療法、心理面のケアなどを含めて総合的に判断する必要があります。
ED薬との違いを比較
ED薬と衝撃波治療は、どちらが絶対に優れているというものではありません。目的、即効性、費用、通院の手間、副作用、持病との相性が異なります。
| 項目 | ED治療薬 | 衝撃波治療 |
| 主な目的 | 性行為のタイミングで勃起をサポート | 血管性EDの血流環境改善を目指す |
| 即効性 | 比較的早い | 即効性より継続治療で評価 |
| 使用方法 | 性行為前に内服 | 複数回の通院施術 |
| 向く人 | 必要な時に確実なサポートが欲しい人 | 血管性EDが疑われ、薬以外の選択肢を検討したい人 |
| 注意点 | 硝酸薬など併用禁忌がある | 費用が高く、効果に個人差がある |
薬が使えない人の選択肢になる場合がある
ED治療薬は有効な治療ですが、硝酸薬を使っている人など、服用できないケースがあります。東邦大学医療センター大森病院では、PDE5阻害薬と硝酸薬を併用すると血圧低下が起こり、生命に危険が及ぶため、硝酸薬を内服している場合はPDE5阻害薬を使えないと説明しています。出典:東邦大学医療センター大森病院「勃起障害(ED)」
このように薬が使いにくい人では、衝撃波治療や陰圧式勃起補助具など、薬以外の選択肢を医師と相談する価値があります。ただし、心疾患や血液を固まりにくくする薬を使っている人は、衝撃波治療でも事前確認が必要です。
薬との併用を検討することもある
衝撃波治療を受けるからといって、必ずED薬をやめる必要があるわけではありません。AFU/SFMSガイドラインでは、軽度から中等度EDに対して、低強度体外衝撃波治療を単独またはPDE5阻害薬と組み合わせて提案できるとされています。出典:AFU/SFMS Guidelines 2024
実際には、衝撃波治療で土台の改善を目指しながら、必要な場面ではED薬を併用するという考え方もあります。薬を完全に卒業できるかどうかは、EDの原因、重症度、生活習慣、治療反応によって変わります。
治療が向いている人・向いていない人
衝撃波治療は、費用も通院回数も必要な治療です。後悔しないためには、自分が適応になりやすいタイプかどうかを確認することが大切です。
| 向いている可能性がある人 | 慎重に考えたい人 |
| 軽度〜中等度の血管性EDが疑われる人 | 重度EDで薬にもほとんど反応しない人 |
| ED薬の副作用が気になる人 | 心因性EDが中心の人 |
| 薬以外の治療も検討したい人 | 糖尿病性神経障害など神経要因が強い人 |
| 通院と費用を継続できる人 | 数回で即効性を期待している人 |
| 生活習慣の見直しも並行できる人 | 費用総額や効果の個人差を受け入れにくい人 |
血管性EDが疑われる人
40代以降で徐々に硬さが落ちてきた、喫煙歴がある、運動不足が続いている、高血圧・糖尿病・脂質異常症があるといった場合、血管性EDが関係している可能性があります。
このタイプでは、陰茎への血液の流れを改善する治療の一つとして衝撃波治療を検討する余地があります。ただし、血管性かどうかは自己判断だけでは分かりません。医師による問診、必要に応じた血液検査、血管評価などを受けたうえで判断しましょう。
心因性EDが中心の人
朝勃ちはあるのに特定の場面だけうまくいかない、相手が変わると症状が変わる、過去の失敗経験が強いプレッシャーになっているという場合は、心因性EDの要素が強い可能性があります。
この場合、血流だけを改善しても十分な効果が出ないことがあります。心理面のケア、パートナーとのコミュニケーション、ED治療薬の一時的な使用、カウンセリングなどを含めて考える方がよいケースもあります。
治療の流れと通院回数
衝撃波治療のプロトコルは、機器やクリニックによって異なります。AFU/SFMSガイドラインでも、複数回の施術が必要としつつ、文献データから特定のプロトコルを推奨することはできないとされています。出典:AFU/SFMS Guidelines 2024
そのため、記事や広告で見かける「4回」「6回」「12回」といった回数は、機器やクリニックの治療設計による違いがあります。受診前には、なぜその回数が必要なのか、1回あたりの照射部位・照射数・施術時間・再評価の時期を確認しましょう。
1回あたりの施術時間
国内クリニックの案内では、1回あたり20分程度の施術として紹介されることが多いです。たとえばDクリニックメンズヘルスのレノーヴァ紹介ページでは、1回の治療時間は20分と案内されています。出典:Dクリニックメンズヘルス「レノーヴァ」
一般的には、麻酔や切開を伴う手術ではなく、専用機器を当てて衝撃波を照射する治療です。痛みは少ないと説明されることが多い一方、感じ方には個人差があります。不安がある場合は、事前に痛み、出力調整、施術後の注意点を確認しましょう。
通院頻度と治療期間
通院頻度も機器により異なります。Dクリニックメンズヘルスでは、レノーヴァは1週間に1回、4回連続で行うのが効果実感の目安と案内されています。また、同ページの比較表では、レノーヴァは週1回×4週、ED1000は週2回×3週を2クールといった例が示されています。出典:Dクリニックメンズヘルス「レノーヴァ」
別の医療機関では、ED1000について12回申し込み時の料金を示しており、12回を前提に治療設計している例もあります。出典:湘南メディカル記念病院「ED治療」
つまり、「何回が正解」と一律には言えません。治療回数は、使用機器、EDの重症度、薬への反応、持病、通院可能な頻度によって相談する必要があります。
副作用・痛み・安全性
ED衝撃波治療は、非侵襲的な治療として紹介されることが多く、重い副作用は多く報告されていないとされます。ただし、安全性が高いとされる治療でも、ゼロリスクではありません。
Sexual Medicine Society of North Americaのポジションステートメントでは、LiSWTなどの再生・修復系治療は相対的な安全性は示されている一方、EDに対する有効性を支持する堅牢な臨床データは不足しており、十分な研究が行われるまでは臨床試験内で提供されるべきだとしています。出典:Sexual Medicine「SMSNA Position Statement」
痛みは少ないとされるが個人差がある
国内クリニックの案内では、衝撃波治療は痛みが少ない、治療中の痛みはほとんどないと紹介されることがあります。Dクリニックメンズヘルスでも、レノーヴァの治療は非常にソフトで、痛みはほとんど感じないと説明されています。出典:Dクリニックメンズヘルス「レノーヴァ」
ただし、痛みの感じ方は個人差があります。皮膚の赤み、違和感、軽い内出血などが起こる可能性はあります。血液を固まりにくくする薬を使っている人、出血しやすい人、皮膚トラブルがある人は、事前に必ず申告しましょう。
持病・服薬中の人は必ず相談する
衝撃波治療はED薬とは異なり、硝酸薬との併用禁忌のような薬物相互作用は中心的な問題ではありません。しかし、心疾患、糖尿病、高血圧、抗凝固薬・抗血小板薬の使用、皮膚疾患、感染症などがある場合は、施術の可否や注意点が変わります。
「薬ではないから安全」と自己判断せず、現在の持病、服薬中の薬、お薬手帳、過去の手術歴を医師に正確に伝えてください。
費用相場と保険適用
ED衝撃波治療は、日本では自由診療として提供されることが多く、費用はクリニックごとに異なります。Dクリニックメンズヘルスの費用解説でも、ED衝撃波治療は健康保険が適用されない自由診療であり、クリニックごとに料金設定が自由に行われると説明されています。出典:Dクリニックメンズヘルス「ED衝撃波治療の費用」
料金は、使用機器、回数、診察料、薬の併用、キャンペーン、地域によって変わります。広告上の「1回料金」だけでなく、治療完了までの総額で比較することが大切です。
実際の料金例
国内クリニックの公開情報を見ると、費用にはかなり幅があります。湘南メディカル記念病院では、ED1000について「12回申し込みの場合、1回25,666円(税込)」と案内しています。出典:湘南メディカル記念病院「ED治療」
Dクリニックメンズヘルスのレノーヴァ紹介ページでは、レノーヴァ4回セットの費用として税込246,400円、ED1000の参考費用として税込402,600円が掲載されています。出典:Dクリニックメンズヘルス「レノーヴァ」
| 確認項目 | 見るべきポイント |
| 1回料金 | 単発料金か、コース契約時の割引後料金か |
| 総額 | 推奨回数を最後まで受けた場合の合計額 |
| 診察料 | 初診料、再診料、検査料が別途必要か |
| 薬代 | ED薬を併用する場合の費用が含まれるか |
| 解約条件 | 途中でやめる場合の返金ルール |
| 再評価 | 治療後に効果判定や追加提案があるか |
「安いから良い」「高いから効く」と単純には判断できません。照射回数、機器、医師の説明、適応判断、効果判定の有無まで確認して、納得してから契約しましょう。
導入されている主な機器
ED衝撃波治療には、ED1000、レノーヴァなど複数の機器があります。機器によって照射範囲、施術回数、施術時間、費用が異なります。
ED1000
ED1000は、低出力の衝撃波を利用したED治療機器として紹介されています。湘南メディカル記念病院では、ED1000を「低出力の衝撃波を利用した、痛みのない勃起不全の治療機器」と案内し、保険適応外の自費診療であることも明記しています。出典:湘南メディカル記念病院「ED治療」
ED1000は、複数回の施術を前提とした治療として案内されることが多く、施設によっては12回を1セットとしている例があります。治療期間や回数は、受診予定のクリニックで必ず確認しましょう。
レノーヴァ
レノーヴァは、低強度衝撃波を用いたED治療機器として紹介されています。Dクリニックメンズヘルスでは、レノーヴァについて、線状照射により一度に広範囲へ照射できること、1回20分、週1回×4週のスケジュール例を案内しています。出典:Dクリニックメンズヘルス「レノーヴァ」
機器の違いはありますが、どちらを選ぶ場合でも大切なのは「自分のEDタイプに合っているか」「医師が適応を判断しているか」「費用と回数に納得できるか」です。機器名だけで決めず、説明の質を重視しましょう。
後悔しないクリニック選びのポイント
ED衝撃波治療は自由診療で高額になりやすい治療です。契約前に、以下の点を確認しておくと安心です。
- 医師がEDの原因を診断してから提案しているか
- 血管性ED、心因性ED、神経性EDなどの違いを説明してくれるか
- ED薬や他の治療法との比較をしてくれるか
- 治療回数、照射部位、施術時間、効果判定時期が明確か
- 総額、追加費用、解約条件が明確か
- 「必ず治る」「薬が不要になる」と断定していないか
- 副作用や効果が出にくいケースも説明しているか
特に注意したいのは、効果を過度に断定する広告です。SMSNAのポジションステートメントでは、LiSWTなどの再生・修復系治療は有望である一方、十分な研究が行われるまでは日常診療で広く提供するのではなく臨床試験内で行うべきとの慎重な見解も示されています。出典:Sexual Medicine「SMSNA Position Statement」
したがって、治療を受ける場合は「効果が期待できる可能性がある治療」として冷静に検討し、メリットだけでなく限界も説明してくれる医療機関を選びましょう。
まとめ:ED衝撃波治療は有望だが、適応と費用を冷静に確認する
ED衝撃波治療は、低出力の衝撃波を陰茎に照射し、血管新生や血流改善を狙う治療として研究・提供されています。血管性ED、特に軽度から中等度のEDでは、改善が期待できる可能性があります。
一方で、効果には個人差があり、心因性ED、重度ED、神経障害が強いEDでは、期待通りの結果にならないこともあります。国際的にも評価は分かれており、長期効果や最適な治療回数については、まだ十分に確立されていない部分があります。
また、日本では自由診療として提供されることが多く、費用はクリニックごとに異なります。1回料金だけでなく、推奨回数を終えた場合の総額、診察料、検査料、薬代、追加費用、途中解約の条件まで確認しましょう。
ED衝撃波治療を検討するなら、まずは泌尿器科やED治療に詳しい医師に相談し、自分のEDが血管性なのか、薬物療法・生活習慣改善・心理面のケアなど他の選択肢と比べて適しているのかを確認することが大切です。広告の「根本治療」という言葉だけで判断せず、医学的な説明と費用の納得感をもとに、自分に合った治療を選びましょう。

